マルチタスクができないのは、切り替えの費用を払っているから
同時に持てる数より、戻る手間のほうが効いている
トラブルが起きたとき、何から手をつければいいのか分かりません。人によっては短時間で原因にたどり着くのに、自分は思いつく順に試して時間だけが過ぎる。発想力の差だと考えると打つ手がなくなりますが、実際に違うのは手順のほうです。
うまく進まない、品質が低い、時間が足りない。この形の問題は、そのままでは解けません。範囲が広すぎて、どこから手をつけても効果が測れないためです。手が止まるのは、能力ではなく対象の大きさが原因になっています。
切り分ける方向は、いくつかあります。工程で分ける、時期で分ける、担当で分ける、対象で分ける。どの切り方でも構いませんが、切ったあとに数字で比べられる形になっているかを確認します。
切ると、問題が起きている場所が偏っていることが分かります。全部が悪いことはまれで、たいていは特定の工程や特定の条件に集中しています。ここまで来れば、あとは対処の話になります。
解けない問題の多くは、この切り分けをしないまま解こうとしている状態です。切る作業は地味で成果に見えませんが、実際にはここが問題解決の本体になります。
原因を考え始めると、すぐに解釈が混ざります。連絡が遅いのは相手のやる気がないから、という形です。解釈から入ると、対策も解釈に基づくものになり、外れたときに理由が分かりません。
先に、確認できる事実だけを並べます。何が、いつ、どのくらいの頻度で起きているか。数えられるものは数える。この段階では原因を書きません。
事実を並べると、解釈の候補が複数出てきます。複数出てくること自体が重要で、一つしか思いつかない状態は、たいてい最初の解釈に固定されています。
人が関わる問題ほど、解釈が早く入ります。相手の性格を原因に置くと、そこで検討が終わってしまい、仕組みの側の原因が残ります。
候補が複数あるとき、どれから確かめるかで所要時間が変わります。可能性の高さだけで選ぶと、確認に時間のかかるものを先に選んでしまうことがあります。
実務的なのは、確認の費用が低いものから潰す順番です。数分で確かめられるものを先に処理すると、残りの候補が絞られた状態で重い確認に入れます。
また、確認する前に対策を入れないことです。原因が確定していない段階で手を打つと、効いたのかどうかが分からなくなり、次に同じ問題が起きたときに何も残りません。
一つずつ変えるのも同じ理由です。同時に三つ変えると、効いた要因が特定できないまま状況だけが動く。次に同じ問題が起きたときに、また一から調べることになります。
原因が分かっても、こちらで動かせない場合があります。他部署の都合、外部の条件、決まってしまった仕様。ここで止まると、問題が放置されたまま残ります。
動かせないと分かった時点で、対象を変えます。原因そのものではなく、影響のほうを小さくする。検知を早くする、代替の手順を用意する、影響範囲を限定する。この三つはたいてい自分の側で実行できます。
解決と、影響の低減は別々の成果です。両方を混ぜて考えていると、解決できない問題が何もできない問題に見えてしまう。分けて扱えば、動かせる範囲は必ず残ります。
低減の手を打ったことは、記録しておくと次に効きます。同じ条件が揃ったときに、最初から用意した手順で対応できるので、慌てて考える時間そのものが不要になります。
自分で解こうとする時間が長い人ほど、詰まったときの損失が大きくなります。すでに誰かが解いている問題であれば、聞くのが最短です。聞くかどうかを都度の判断にせず、時間で区切っておくと迷いません。
三十分考えて進まなければ聞く、と決めておく。この形にすると、聞くことが手順の一部になるので、能力の申告のようには感じにくくなります。
聞くときは、状況と試したことをまとめて渡します。まとめる作業の途中で自分で気づくことも多く、その場合も無駄になりません。
聞いて得た内容は、その場で記録しておきます。同じ種類の問題は形を変えて繰り返し起きるので、記録があれば二度目からは自分で処理できます。
順に切り分けて原因を絞る型と、経験から当たりをつけて先に試す型があります。後者は速い代わりに、経験のない領域では空振りが続きます。前者は確実ですが、時間がかかります。
得意な型があること自体は強みです。問題になるのは、型が一つしかないときで、合わない場面でも同じやり方を続けてしまいます。
自分の型が分かっていれば、合わない場面で切り替えられます。未経験の領域では切り分けから入り、慣れた領域では当たりをつける。
自分がどう解く人なのかは、詰まっている最中には見えにくいところです。問題の解き方診断では、原因から詰めるか手を動かして探るかと、一人で進めるか人を巻き込むかの二つを見ています。
手に負えないものを前にしたとき、人は二つのことを決めています。大きい所から取りかかるか、小さい所から片づけるか。そして完全に解くまでやるか、使える形になったところで区切るか。この組み合わせで、問題の解き方は4つに分かれます。10問に答えると、あなたがどこから手をつけてどこで終わりにしているのかが見えてきます。
10問 / 約2分 / 結果4タイプ
問題の解き方診断を受ける