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マルチタスクができないのは、切り替えの費用を払っているから

三件の仕事を並行して持つと、どれも進まない日が出てきます。一つに集中していれば終わるのに、声をかけられるたびに手が止まり、戻ったときにはどこまでやったか思い出せない。同時にこなせる人と比べて向いていないのだと考えがちですが、差が出ているのは別のところです。

切り替えには、毎回費用がかかる

作業を中断して別の作業に移ると、戻ったときに状態を作り直す必要があります。どこまで進んだか、次に何をする予定だったか、何を保留にしていたか。この復旧に数分かかり、切り替えの回数だけ繰り返し発生します。

同時に進めているつもりでも、実際にやっているのは高速の切り替えです。だから件数が増えるほど、作業そのものではなく復旧に時間が使われる。進んでいない感覚は、この費用の合計から来ています。

得意に見える人は、切り替えの費用が低い人です。復旧が速いのは記憶力ではなく、中断のときに残す情報の形が決まっているためです。

中断するときに、一行だけ残す

止めるときに、次にやることを一行書いておく。これだけで復旧の時間が大きく変わります。書くのは進んだ内容ではなく、再開の一手目です。読み返してすぐ手が動く形になっていることが条件になります。

残していないと、戻ったときにまず全体を読み直すことになります。読み直しは安心感がありますが、時間を最も使う工程です。一日に何度も発生すると、それだけで数時間が消えます。

書く場所は一箇所にまとめます。案件ごとに散らばっていると、どこに書いたかを探す作業が新しい費用になる。開く場所が一つなら、再開のたびに迷わずに済みます。

この一行を残す習慣は、割り込みが多い職場ほど効きます。自分の集中力を上げるのは難しいけれど、復旧にかかる時間を短くするのは今日から実行できる。同じ環境でも、進む量がはっきり変わります。

抱えられる件数には、上限がある

同時に持てる件数は人によって違い、三件までの人もいれば六件回せる人もいます。ここは訓練で多少動きますが、性質としての差が大きい。上限を超えた状態で回そうとすると、全部の進みが遅くなります。

上限は、忙しい日ではなく普通の日で測ります。今日は何件を頭に置いていたかを数え、そのうち実際に進んだのが何件かを見る。進んだ件数が上限に近い数字です。

測った数字が三件でも、少ないと考える必要はありません。上限が低い人は一件あたりの精度が高いことが多く、件数で比べても意味がないためです。

上限を超えているときの対処は、優先順位を付けることではありません。順位を付けても件数は減らないので、切り替えの回数は同じです。件数そのものを減らす、つまり預ける・待ってもらう・順番に片づけると宣言する必要があります。

割り込みは、その場で処理しない

声をかけられたときにすぐ対応すると、頼んだ側の待ち時間はゼロになりますが、こちらの復旧費用が毎回発生します。一日に十回あれば、それだけで一時間近くが消えている計算になります。

その場でやるかどうかの基準を、時間で決めておくと楽です。一分で終わるものはその場で処理し、それ以上のものは受け取って予定に入れる。判断のたびに考えなくて済むので、迷いも減ります。

受け取るときは、いつまでに返すかを一緒に伝えます。あとでと言うだけだと、相手は待っている状態が続き、催促という形で二度目の割り込みが来ます。

まとめて処理する時間帯を決めておくと、割り込みの受け皿になります。この時間があると、後回しにする判断が出しやすくなります。

同時にやると質が落ちる作業がある

手を動かすだけの作業は、並行しても質が落ちません。一方で、考えて組み立てる作業は、中断のたびに組み上げた分が崩れます。この二種類を同じ扱いにすると、崩れる側の仕事だけが終わりません。

組み立てる作業は、まとまった時間を先に確保します。三十分でも、割り込みの入らない時間を確保できると進み方が変わる。残りの時間で、手を動かす作業を並行させます。

一日の予定を件数ではなく、この二種類の配分で見ると、無理のある日が事前に分かります。組み立てる仕事が三つ入っている日は、時間の合計が足りていてもそもそも回りません。前日のうちに一つ動かせば済みます。

向いていないのではなく、設計の問題

同時進行が苦手な人は、一つを深く進める場面で強いことが多い。切り替えの費用が高いのは、状態を細かく持っているからで、それは作業の精度と表裏です。

だから直すべきは性質ではなく、仕事の入り方のほうです。件数を減らす交渉、割り込みの受け方、中断時の記録。この三つで、同じ人が同じ能力のまま回せる件数が変わります。

職場によっては、そもそも同時進行が前提になっていることもあります。その場合でも、全部を頭で持つ設計をやめて外に置く設計へ変えれば負荷は下がる。記憶の量ではなく、置き場所の問題になります。

自分がどの回し方をする人なのかは、忙しいときほど見えなくなります。マルチタスク診断では、同時に持つ件数と、割り込みが入ったときの戻り方の二つを見ています。

自分の傾向を確かめてみる

いくつのことを同時に抱えたまま動けるかは、人によってはっきり違います。一本ずつ最後まで引く人もいれば、全部を開いたまま少しずつ進める人もいる。多く持てるほうが優れているわけではありません。同時に持てば総量が増え、一つに絞れば深さが出ます。10問の場面でどう振る舞うかを選ぶと、あなたの同時進行度が点数で見えてきます。

10問 / 約2分 / 結果4タイプ

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