Neome

人を褒めるのが苦手なら、評価ではなく事実を言う

良い仕事だと思っているのに、言葉にすると急にわざとらしくなります。上から評価しているようで気が引けるし、社交辞令に聞こえるのも避けたい。結局何も言わないまま終わって、あとから伝えておけばよかったと思う。この詰まり方には、共通した原因があります。

褒めにくいのは、判定の形になっているから

よくできている、上手だ、という言い方は、こちらが上の位置から採点した結果に見えます。相手が年上や同僚の場合、この形は使いにくい。使いにくいので、言葉が出てこなくなります。

採点をやめると、途端に言いやすくなります。使うのは、自分が見たことと、自分に起きたことです。ここが分かりやすかった、この順番だと読みやすかった、助かった。どれも判定ではなく報告です。

報告の形なら、立場に関係なく言えます。新人が上司に対して使っても不自然になりません。褒めるという行為を、評価ではなく情報の共有として扱うのが要点です。

受け取る側にとっても、判定より具体的な報告のほうが役に立ちます。何が効いたのかが分かるので、次に再現できる。よくできていると言われるだけでは、どこを残せばいいのか分かりません。

結果ではなく、過程を指す

結果だけを褒めると、うまくいかなかったときに言葉がなくなります。相手も、結果が出た回しか認められないと感じるので、挑戦の量が減ります。

過程を指すと、結果に関係なく言えます。確認の回数を増やしていた、途中で方針を変えた判断が早かった、資料の順番を組み直していた。これらは事実として観察できるので、探せば必ず見つかります。

観察していないと出てきません。褒めるのが苦手な人の一部は、言葉の問題ではなく、相手の作業を細かく見ていないだけのことがあります。

見る回数を増やすと、言う材料は自動的に増えます。無理に褒め言葉をひねり出すより、観察の量を増やすほうが早い。材料さえあれば、言い方は短くても伝わります。

わざとらしくなるのは、量とタイミング

普段まったく言わない人が急に褒めると、何か裏があるように受け取られます。内容の問題ではなく、頻度の落差が原因です。異動や評価の前だと、なおさら別の意図があるように見えます。

対策は、小さいものを日常的に出すことです。助かった、読みやすかった、といった短い一言で足ります。日常にあるものは、それだけで特別な意味を持たなくなります。

タイミングも効きます。終わってから何日もたって言うと、思い出して言っている感じが出る。その場か、遅くともその日のうちに出すと自然です。

人前と個別で、効き方が違う

人前で言われると励みになる人と、居心地が悪くなる人がいます。後者に人前で言うと、目立たせないでほしいという気持ちのほうが強く残り、伝えたかった内容が届きません。

分からないうちは、個別に短く言うほうが安全です。個別で嫌がられることはほとんどありません。相手の反応を見て、人前でも問題なさそうなら広げていきます。

第三者を経由して伝わる形も効きます。別の場で名前を出しておくと、後から本人に届く。直接言うのが苦手な人には、この経路が使いやすい。

経由して届いた言葉は、直接言われるより強く残ることがあります。その場の社交辞令ではないと分かるためで、苦手な人ほどこの効果を使う価値があります。

逆に、本人に何も言わないまま第三者にだけ話していると、評価だけが周りに流通して本人には届かない状態になります。届いていないぶん、本人からは何も見られていないように見えることさえあります。

褒める言葉を、指摘の緩衝材に使わない

褒めてから指摘する形は広く使われていますが、繰り返すと褒め言葉が前置きとして扱われるようになります。褒められた瞬間に、次に来る指摘を身構える状態です。

こうなると、褒め言葉が単独では機能しなくなります。指摘のない日にも短く出すようにしておくと、この紐付けは切れる。切れるまでには少し時間がかかります。

指摘と褒め言葉は、別の機会に分けて出すほうが結果的に両方届きます。同じ場に入れると、褒めた部分は前置きとして流され、指摘の部分は緩衝材で弱まって、どちらも薄まります。

苦手なままでも、伝える手段はある

口に出すのが難しければ、文字で送るという手があります。短い一行で十分ですし、口頭より事実を書きやすいという利点もある。相手も、あとから読み返せる形のほうが残ります。

苦手な人が無理に上手く言おうとすると、言葉を探している時間のほうが長くなって機会を逃します。定型でいいので、使い回せる形を二つか三つ持っておくと出しやすい。

褒めることを、相手のためだけの行為だと考えると重くなります。実際には、良かった点を言語化する作業は自分の判断基準を整理することでもあります。

自分がどういう伝え方をする人なのかは、普段は意識しないところです。人の褒め方診断では、言葉に出す量と、結果と過程のどちらを見るかの二つを見ています。

自分の傾向を確かめてみる

人のやったことに気づいたとき、それを言葉にするかどうかと、どこで言うかは別の話です。小さくても言う人と、できて当たり前だと思う人。本人に直接言う人と、人づてに伝わる形を選ぶ人。この組み合わせで、人の褒め方は4つに分かれます。10問に答えると、あなたの言葉がどこへ向かって、どのくらい出ているのかが見えてきます。よく褒めるほうがいい、という診断ではありません。

10問 / 約2分 / 結果4タイプ

人の褒め方診断を受ける

関連する記事