謝り方がわからないときは、順番と範囲だけ決める
言葉選びより、何について謝るかが先
褒められると、うれしいはずなのに反射でそんなことないですと返してしまいます。言ったあとで、相手の言葉を否定した形になったことに気づいて、余計に気まずくなる。受け取ればいいと分かっているのに、その場になると同じ返しが出るのは、意志ではなく手順の問題です。
褒められた瞬間に否定が出るのは、考えた結果ではありません。予想していない言葉に対して、その場をしのぐ動作が先に出ているだけです。だから、受け取ろうと決意しても、次の機会には同じ言葉が出ます。
反射を止めるには、意志ではなく代わりの一手を用意しておく必要があります。ありがとうございます、の五文字で足ります。内容に同意しなくても、言われたこと自体への返事としては成立します。
この一手が用意されていないと、沈黙か否定のどちらかになります。沈黙は気まずいので、結果として否定が選ばれる。順番としては、否定したいのではなく、他に出す言葉がなかっただけです。
口に出す練習は、実際の場面でなくてもできます。頭の中で一度言っておくだけで、次の機会に出る確率が上がる。反射より先に出せる言葉を一つ持っておくのが、いちばん短い対策です。
そんなことないです、と返すと、褒めた側は自分の見方を訂正されたことになります。悪気がなくても、相手は次から言いにくくなる。褒め言葉が減ると、こちらは受け取る練習の機会も失います。
とくに、相手が勇気を出して言った場合の打ち消しは強く効きます。言ってよかったのか分からないまま終わるので、関係の距離も少し開きます。
受け取ることは、自慢とは別のことです。ありがとうと言っただけで、自分は優れていると主張したことにはなりません。ここを混ぜていると、受け取ること自体が図々しい行為に見えてしまいます。
褒められたときに、本心かどうかを判定しようとすると固まります。判定には材料が足りないので、たいてい結論が出ないまま時間が過ぎ、返事のほうが遅れます。
実際には、判定する必要がありません。社交辞令であっても、場を良くしようとして言われた言葉です。それに対して短く返すのは、内容への同意ではなく、やりとりへの参加です。
本心だった場合も、返し方は同じで足ります。受け取ったことが伝われば、相手の目的は達成されている。判定の必要がないと分かると、返事までの時間が短くなり、その場の間も自然になります。
深読みが強く出る人は、褒められた直後ではなく、あとから理由を考える癖があります。その場では返すだけにして、考えるのは帰ってからにすると、会話が止まりません。
ありがとうだけだと素っ気ないと感じる場合は、一言足す形を持っておくと楽です。うれしいです、助かります、気づいてもらえてよかったです。どれも、相手の言葉を受け取ったことがはっきり伝わります。
褒められた内容に触れると、会話が続きます。時間をかけた部分だったので、と付け加えると、相手も話を広げられる。褒め言葉を会話の入り口として使う形です。
相手を褒め返す必要はありません。すぐに返そうとすると取引のようになり、こちらも相手も落ち着きません。別の機会に、思ったときに言えば足ります。
型を三つほど持っておくと、その場ですることが選ぶだけになります。言葉を作る作業がないぶん、反射より先に出せるようになる。三つとも使い切ることはまずないので、多く用意する必要もありません。
同じ苦手でも、注目されること自体がきつい人と、評価が実態と合っていないと感じる人がいます。前者は場面の問題なので、人前ではなく個別に言ってもらうと楽になります。
後者は、褒められた内容と自分の認識のずれが原因です。この場合、受け取り方より、何を見て言われたのかを聞いてみると解消することがあります。相手は具体的な場面を見ていることが多い。
どちらでもなく、次も期待されることが重いという人もいます。受け取ると基準が上がる気がするためです。この場合は、褒め言葉を評価ではなく感想として扱うと軽くなります。
褒められるのが苦手な人は、人を褒めるのも苦手なことが多い。言葉が重いものだという前提を持っているので、軽く言うことができないためです。
受け取る練習をしていくと、この前提が緩みます。短い一言で足りると分かってくるので、自分から出すときも軽くなる。結果として、周りとのやりとりの量が増えます。
褒め言葉が日常的に行き交う関係では、一つ一つの重さが下がります。重さが下がれば、受け取るときの負担も自然に減っていく。苦手を直すというより、環境のほうが先に変わる形です。
自分がどういう受け取り方をしているのかは、その場では判断できません。褒められ方診断では、素直に受け取るか打ち消すかと、人前と個別のどちらで言われたいかの二つを見ています。
褒められたとき、それをどう受け取ってどう返すか。そのまま受け取る人と、一度打ち消す人。そしてそのあと相手にも返す人と、話題を変える人がいます。この組み合わせで、褒められ方は4つのかたちに分かれます。10問に答えると、あなたのところで褒め言葉がどう扱われているのかが見えてきます。素直に受け取れるほうがいい、という診断ではありません。
10問 / 約2分 / 結果4タイプ
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