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働きすぎから抜け出すのに、意志は使わない

働きすぎから抜け出そうとするとき、たいていの人は終わりの時刻を決めます。今日は定時で帰る、今週は持ち帰らない。しばらくは守れますが、数週間で元に戻ります。減らしているのが出口の側だけで、入ってくる量が変わっていないからです。

働く時間は、減らそうとしても減らない

時間を短くすると決めても、抱えている仕事の量が同じなら、どこかに押し出されるだけです。持ち帰るか、翌朝早く出るか、休みの日に片づけるか。合計は変わらず、分散するだけで、しかも分散したぶんは記録に残りません。

自分では減らしたつもりでいるのに疲れが取れないのは、この移動が起きているからです。夜の残業が朝の早出に変わっても、働いた時間は同じです。移した先は自分にも見えにくいので、減った気だけがします。

だから手を入れる場所は、終わりの時刻ではありません。入ってくる量のほうです。ここを触らずに時刻だけ決めるやり方は、意志が続くあいだしか持ちません。

増えるのは、能力があると分かったときから

働きすぎている人の多くは、仕事が遅いから長くなっているわけではありません。むしろ逆で、渡せば返ってくると分かった相手のところに、次の仕事が集まります。速く正確にやるほど、量が増えていく構造になっています。

この構造は、本人の努力では止まりません。断らない人が優秀に見えるのではなく、断らない人のところに配りやすいだけです。配る側は悪気なく、いちばん通りのいい場所へ流しています。

止められるのは、通りを一か所だけ細くしたときです。全部断る必要はありません。返事までに時間を置く、受けるときに他をどかす相談をする。この二つが入るだけで、流れる量は変わります。

抜けられなくする三つの言い分

自分がやったほうが早い、いま人に頼むほうが手間、あと少しで落ち着く。この三つはどれも事実ですが、同時に、量を減らさないための理由にもなっています。事実なので反論しにくく、だから何年でも続きます。

自分がやったほうが早いのは本当です。ただし今回だけの話で、三回目からは渡したほうが早くなります。頼む手間は一度きり、自分でやる手間は毎回発生する。この比較を、回数を入れてやり直すと結論が変わります。

あと少しで落ち着く、については、過去半年に同じことを何回思ったかを数えるのが早い。三回以上出てくるなら、それは一時的な状態ではなく、平常運転になっています。

減らす順番は、時間ではなく種類から

量を減らすとき、どれから外すかで迷います。目安になるのは、自分がいなくても回るかどうかです。誰でもできる仕事から外すのが基本で、自分にしかできない仕事を残したほうが、外した後の説明もしやすくなります。

外し方には二種類あります。人に渡すのと、やめてしまうのと。渡すほうばかり考えると渡し先が見つからずに止まりますが、実際には、やめても誰も困らない作業が毎週いくつか混ざっています。まずそこを探すほうが早い。

見つけ方は、一週間だけ記録をつけることです。何にどれだけ使ったかを並べると、続けている理由が思い出せないものが出てきます。理由の思い出せない作業は、たいてい途中から惰性で続いています。

やめるときに宣言する必要はありません。一度止めてみて、誰からも何も言われなければ、それは要らなかった作業です。言われたら戻せばいいだけなので、試すこと自体の危険は小さく済みます。

休んだときに何が起きるかを、一度見ておく

抜けられない人が本当に怖がっているのは、時間が減ることではなく、抜けたときに何かが崩れることです。ところが、崩れるかどうかを実際に確かめた人は多くありません。想像の中では、いつも崩れます。

一度、短く試してみる価値があります。半日でも一日でもいい。抜けたときに何が止まり、誰が困り、どこは何も起きなかったのかを見ておく。ほとんどの場合、想像より止まらないことが分かります。

止まった部分が分かれば、そこが本当に自分しか持っていない仕事です。次に手を入れるのはそこで、渡せる形にしておくと、抜けられる範囲が広がります。怖さは、確かめた分だけ小さくなります。

抜けているあいだに何も起きなかった領域は、抜けていることに誰も気づいていない領域でもあります。ここは今後も抜けられる場所として数えられるので、次に休むときの判断が軽くなります。一度確かめておくと、その効果は何年も続きます。

働きすぎているかどうかは、自分では測りにくい

長く続けていると、いまの量が普通に見えてきます。まわりも似た働き方をしていれば、比べる材料もありません。気づくのはたいてい、外の人に言われたときか、続けられなくなったときです。

自分で測るなら、時間の長さではなく、働いていない時間に仕事のことを考えているかで見るほうが分かりやすい。時間は職場によって違いますが、頭の中の占有率は自分の状態を直接表します。

働きすぎ度診断では、その量を目盛りで見ています。多い側を直すべきものとして書いてはいないので、いまの位置を確かめる材料として使ってください。位置が分かると、時間から手をつけるのか入口から手をつけるのかも決めやすくなります。

自分の傾向を確かめてみる

就業時間が終わったあと、仕事から離れられる人と、頭のどこかに残り続ける人がいます。長く働くことが偉いわけでも、早く切り上げることが冷めているわけでもありません。10問の場面でどう振る舞うかを選ぶと、いま仕事が生活のどのあたりまで来ているかが見えてきます。境目が引けているかどうかを確かめる手がかりとしてお使いください。

10問 / 約2分 / 結果4タイプ

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