リーダーに向いてないと感じるのは、型が一つだと思っているから
引っ張るのが苦手でも、回す方法は別にある
やってみたい仕事の話が来ても、その場で受けられません。持ち帰って考えているうちに、できない理由ばかりが揃っていく。動いた人を見ると、自分には勇気が足りないのだと思えてきます。ただ、動けない状態をよく見ると、足りていないのは勇気ではなく見積もりであることが多い。
挑戦をためらうとき、頭の中にあるのは失敗そのものではなく、失敗したらどうなるか分からないという状態です。分からないものは最悪の形で想定されるので、実際より大きく見積もられます。
見積もりを具体的にすると、多くの場合は思ったより小さいことが分かります。失敗した場合に何を失うのか、元に戻すのにどれくらいかかるのか。書き出すと、取り返しのつかない項目はほとんど残りません。
残ったとしても、それが分かっていれば対策が打てます。分からないまま避けているあいだは、対策も立てられないので、いつまでも同じ位置にいることになります。
失敗には、やり直せるものと、やり直せないものがあります。担当した仕事がうまくいかない、提案が通らない、異動先で成果が出ない。これらは時間はかかっても回復できます。一方、健康を大きく損なう選択や、生活の基盤を失う選択は戻りにくい。
この二つを同じ強さで避けていると、動ける範囲が極端に狭くなります。実際に慎重であるべきなのは後者だけで、前者はむしろ試す回数を増やしたほうが早く進みます。
分けるときの目安は、失敗した一年後に何が残るかです。経験と評判の傷だけなら回復の範囲、生活の土台が変わるなら別扱いにします。
この線を自分で引いておくと、話が来たときの判断が速くなります。速く答えられる人には次の話も来やすいので、機会の総量そのものが増えていきます。
挑戦を全部か無かで捉えると、判断が重くなります。転職するかどうか、独立するかどうか。この形で考えているうちは、材料が揃わないので決められません。
実際には、途中まで進める形がたいていあります。話を聞くだけ、期間を限って担当してみる、副次的な関わり方から始める。ここで得られる情報は、想像で考えるより精度が高い。
小さく試すと、失敗しても損失が限定されます。そのぶん、試す回数を増やせる。動ける人が特別に強いのではなく、一回の賭けを小さくしているだけということはよくあります。
挑戦しない選択は、損失がゼロに見えます。ただ、実際には機会を見送るという形の損失があり、こちらは目に見えないので数えられません。数えられないものは、比較のときに無視されます。
見えるようにするには、動かなかった場合の一年後を書きます。同じ仕事、同じ範囲、同じ評価。それが望ましいならその選択は妥当ですが、望ましくないなら、動かない側にも損失があることになります。
とくに、条件が悪化していく状況では、現状維持が最も損失の大きい選択になることがあります。動かないことを安全な選択として扱うのは、状況によっては誤りです。
動く場合の損失と、動かない場合の損失を並べて比べると、判断が感情から離れます。怖さが消えるわけではありませんが、怖いまま選べるようになる。これは勇気とは別の能力です。
並べる作業は、紙の上で数分あればできます。頭の中だけで比べていると、想像しやすい失敗のほうが常に大きく見えるので、動かない側に有利な結論が出やすくなります。
先に動いた人の結果だけが目に入ると、自分の判断が遅れているように感じます。ただ、見えているのは成功した例が中心で、同じ条件で動いて戻った人の話は流れてきません。
また、条件も違います。生活の余裕、支えてくれる相手の有無、失敗したときの受け皿。これらが違えば、同じ選択でもリスクの重さは変わります。比べるなら、結果ではなく条件のほうを比べる必要があります。
焦って動いた挑戦は、準備が足りないぶん失敗しやすい。失敗すると、次に動くときの判断がさらに慎重になります。比較で動くのは、遠回りになりがちです。
動く前に確認する性質は、失敗の規模を小さく保つのに役立ちます。実際、慎重な人が動いたときのほうが、準備が整っているぶん定着しやすい。直すべきは慎重さそのものではなく、確認が終わらないまま止まる点です。
終わらせるには、確認の項目を先に決めておきます。三つ確認したら決める、と決めておけば、無限に材料を集める状態から抜けられます。
決める期限も同時に置きます。期限がないと、考えている状態のまま話のほうが消えます。断られたのではなく、時間切れで消えるのがいちばんもったいない。
自分がどういう踏み込み方をする人なのかは、迷っている最中には見えません。踏み込み方診断では、どこまで確かめてから動くかと、失敗をどう見積もるかの二つを見ています。
結果の見えないことを前にしたとき、どこまで踏み込むか。確かめてから動く人と、動きながら確かめる人がいます。どちらが正しいということではなく、失敗の大きさをどこで決めているかが違うだけです。10問に答えると、あなたの踏み込みの大きさが目盛りで見えます。大きいほうがいい、という診断ではありません。
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