方向音痴を克服するには、覚え方を変えるほうが早い
地図が読めないのではなく、記憶の作り方が違うだけ
話題に出たものを何一つ知らないまま、相づちだけで乗り切る場面が増えました。前は自然に耳に入っていたのに、今は意識して追わないと分からない。年齢のせいだと言われることもあるけれど、追いつけなくなった理由はもう少し具体的なところにあります。
以前は、多くの人が同じものを見ていました。同じ番組、同じ音楽、同じ売れ筋。だから追う対象は少なく、意識しなくても共有できていた。今は入り口が人ごとに違うので、同じ時期に流行っているものが十も二十も並行して存在します。
この状況では、全部を知っている人は誰もいません。相手が詳しいのは、その人の入り口に流れてくるものだけです。自分だけが取り残されているように見えても、実際には全員が別々の一部分を見ています。
だから、ついていけないという感覚は、感度の低下ではなく数の問題です。追う力が落ちたのではなく、追うべき対象が増えすぎている。同じ努力では追いつけない状態になっています。
流行を知らないこと自体で困ることは、実はあまりありません。困るのは、話題についていけずに会話から外れる場面です。つまり必要なのは、全部を知ることではなく、会話が続く程度の情報です。
その程度なら、名前と分類だけで足ります。何という名前で、どういう種類のものか。中身を知らなくても、相手に説明してもらう形で会話は成立します。むしろ、知らないと言って聞くほうが会話は伸びます。
知ったかぶりをすると、その先で詰まります。少し踏み込まれると答えられないので、結局そこで会話が止まる。知らない前提で入るほうが、負担も少なく話も続きます。
自分から話題を出す必要もありません。聞き役として参加できていれば、その場では十分に成立します。詳しい人にとっては、説明できる相手がいることのほうが嬉しい場合すらあります。
全部を追うのは無理でも、一つの入り口を決めておくと会話の材料は確保できます。よく会う人たちが見ている場所と同じところを、一日数分だけ見る。分野を絞ると、追う量が現実的になります。
選ぶ基準は、自分の興味ではなく、会話に出てくる頻度です。興味のあるものはもともと追えているので、困っているのはそれ以外の領域だからです。ここを取り違えると、追っても会話は楽になりません。
追う時間は、短く固定しておきます。際限なく見ていると、今度は時間のほうを失う。一日数分でも、続けていれば名前と分類だけは自然に入ってきます。
流行を追わないと決めている人は、実際には多くいます。困りごとが会話だけなら、その場で知らないと言えば済むので、生活に支障は出ません。負い目を持つ必要はありません。
追わない選択の利点は、時間と注意が空くことです。空いたぶんを、長く使えるものに向けられる。数年後にも残っているものに時間を使ったほうが、蓄積としては大きくなります。
ただし、仕事で必要な領域は別です。扱っている分野の動きは、流行ではなく業務情報として追う必要があります。ここを混ぜないほうが、判断が楽になります。
追わないと決めたなら、周りの会話に対して引け目を出さないほうがいい。知らないことを謝る形になると、相手も話しにくくなります。
流行のうち、長く残るものは一部です。出た時点では区別がつかないので、早く追う人は外れも多く引きます。時間がたってから入ると、残ったものだけが目に入るので、選ぶ効率は上がります。
話題として消費する目的なら早さが要りますが、自分が楽しむ目的なら遅くても損はありません。目的が違うだけで、遅いことが劣っているわけではない。
遅れて入ったときに、周りの熱がすでに冷めていることはあります。そこは会話の相手を選べば済む話で、同じ時期に入った人は必ずいます。
出たものをすぐ試す人、周りが落ち着いてから入る人、自分の好きなものだけを深く続ける人がいます。どれも成立していて、どれかが遅れているわけではありません。
自分の型と違う追い方をすると、疲れます。周りに合わせて早く追おうとした結果、興味のないものに時間を使い、残らないという形になりがちです。
困っているのが会話だけなら、対策も会話の範囲で済みます。名前と分類を押さえておく、知らないときは聞く。この二つで足りるので、生活の仕方まで変える必要はありません。
追う量を増やすかどうかは、そのときの余裕で決めればいい。忙しい時期に全部を止めても、あとから戻れます。流行は逃したら二度と手に入らないものではありません。
自分がどういう距離の取り方をしているのかは、周りと比べている最中には分かりにくいところです。流行との距離診断では、新しいものにどれだけ早く手を出すかと、周りの評価をどれだけ参考にするかの二つを見ています。
みんなが見ているものと、自分がどのくらい近い場所にいるか。出た時点で触れている人もいれば、落ち着いた頃に手が届く人もいます。速さの違いであって、感度や趣味の良し悪しではありません。10問に答えると、あなたと流行の距離が目盛りで見えます。近いほうがいい、という診断ではありません。
10問 / 約2分 / 結果4タイプ
流行との距離診断を受ける